私の中でのクラシックギターへの憧れ、曲への興味はこの福田進一先生のCDから始まりました。
福田進一 「ギター名曲集」(1988)
収録されている曲はF.タレガやカタロニア民謡などスペインにまつわる曲集。
その中に多く収録されていたのが、I.アルベニスの作品でした。
まだ行ったこともないのに、スペインの情景が想像される作風に、
とても感動したのを覚えています。
CDも擦り切れるまで聴きました。
それから「いつかこの曲を弾きたい!」という思いへかわり、
ギターを習い始める前に楽譜を取り寄せ
(その頃インターネットはあるかないかの頃でしたから、本屋さんに行っては、楽譜コーナーを漁りつくしてました)
五線譜もまともに読めなかった私は、TAB譜(押さえるフレットが書かれた楽譜)を頼りに
禁じられた遊びから始まり、ラグリマ、アデリータ、アメリアの遺言、夢、アラビア風奇想曲、アストゥリアス、エレジーetc..
ちんたらちんたら弾いておりました。
(・・正しくは、弾けるフレーズだけ弾いて、弾けないところはとばしてました。笑)
耳は少しだけクラシックギターに慣れてはきたものの、ここから先はどう頑張っても無理・・。
限界に達したところで、「ギターを習いたい」となりました。
先生に師事してからは独学で変に癖がついた基本をひたすら矯正。
M.カルカッシやH.ヴィラ=ロボスほか、ギターの基礎とあるエチュードなど徹底して教えてくださいました。
「朱色の塔」を弾くきっかけとなったのは、その5〜6年後。
2010年の山口ギターコンクールにエントリーした際
上級部門の課題曲となっていたのです。
早弾きでちょっと技巧的な曲であるため
CDを聴いていた当初は「絶対弾けない曲」だと感じ、楽譜を手にすることもありませんでした。
コンクールを受けると決めた当時、まだ私は会社勤めをしており
ギターをやっていく中で精神的にいろいろな葛藤と
環境面でのストレスを抱えていた私・・(ガラスの心なんデス。。。)
思い切って自分の演奏を発揮し、コンクールで結果を残して
それから進む道を決めようと決断した上で努力した曲、それがこの曲でした。
( 2010.8 山口ギターコンクールにて)
自由曲にはF.ソルの「もしも私が羊歯ならばによる変奏曲」を演奏しました。
F.ソルの人物、曲ができた経緯、古典音楽の形式、変奏曲を演奏する時のアプローチetc..
いろんな先生にマスタークラスを受けたり、自分で曲の分析やリサーチをする習慣も身についたりした時期です。
福田先生から受ける3度目のマスタークラスで
朱色の塔を受講することができました。
レッスン中は緊張を通り越し、わくわくしていたのを思い出します。
CDで弾いていた方にレッスンを受けれるなんて・・。
もちろん当時のCDとは違ったアプローチでのレッスンでしたが、
他の版との違いや、原曲はピアノのための曲ですので
「こう弾いてもええんで」という感じで、編曲物をギターで弾くならば、という
可能性を楽しくレッスンしていただきました。
私はCDと同じラゴスニック編を選び、
福田先生から教えて頂いたこと
昨年スペインのレッスンを受講したフランシスコ・クエンカ先生から教えて頂いたこと
そして、長年この曲と付き合って、自分なりに表現したいことをブレンドし
今回のCDに録音しました。
(2015.6.24 スペイン・リナーレスにて)
リナーレス入りする前にアルハンブラ宮殿周辺を観光。(宮殿の中に入れませんでした。)
どこもかしこも朱色なのです。『朱色の塔』、どこーーー^^!?
アルハンブラ宮殿内部は2011年のブログにて。
2011年スペイン・グラナダの旅
昨年の旅では「コルドバ」という街にある巨大なメスキータ(礼拝堂)の内部を見て
スペインのイスラム文化の影響と歴史の流れに触れることができました。
この情景をレコーディング中に思い出したとか、出せなかったとか・・(笑)
ギターを始めた頃のわくわく感と、
いろんな方々の教えを請い、打ちのめされては立ち上がり続けた頃を思い出す、
思い出の1曲です。